• Ishikawa-legi

格闘技



精神科になりたてのころに、男は刃を外に向け、女は刃を内に向ける傾向があることに気づいた。

自己が侵されるような窮地に陥り逆上すると、男は相手に殴りかかったり、刃物で刺したりする。女は刃物で自分の腕を切りつけリストカットする(彼女の腕には、左の写真の商店街の間の空の電線のように、幾筋も、幾筋も切線ができる)。

私は女なので、女が自分を切りつける心情がなんとなくわかる。でもなぜ男は外向きに攻撃的になるのか、いまだによくわからない。

どうして男はすぐケンカするのか?どうしてすぐ序列をつけたがるのか?どうしてすぐ勝ち負けをつけたがるのか?どうして強くなりたがるのか?なぜそんなに戦いが好きなのか?

どうでもいいのに。仲良くすればいいのに。

うちの子によれば、それは男の本能だそうだ。大昔の狩猟時代から、強い男が勝ち残って強い子孫を残そうとしているのだそうだ。うーん、でも男のあの攻撃性が本能だとして、その行きつく先が、命と種の維持になるようにはあんまり思えないのだけど・・・

それはともかく、世の中には”格闘技”というものがあって、それに夢中になる男が多くって、でも私にはさっぱりその意味がわからず、まったく縁もなく、むしろ徹底的に避けてこれまで生きてきた。

ところが最近ふと、格闘技とは何なのか知りたくなって、先日、近所の体育館でやっている”ジークンドー”の教室に体験に行ってみた。ジークンドーはブルース・リーが始めた、いわばストリート・けんか術だ。

感想としては、とても面白かったし、1時間半があっという間だった。最初はまったく体が動かなかったけど、最後のほうでは蹴りがちょっと決まることもあった。私は今まで人を蹴ったり殴ったりしたことがなかったので、自分の中の発想の転換が面白かった。

男のことを知りたくて行ったのに、自分の中の女性性を再確認してしまった感じだ。

「そうしないと自分がやられてしまうから、相手を倒すことに集中する」と、何が起こるか?

体育館で人がたくさんいる中で、全く他人の目が気にならなくなるのだ。

自分がちゃんと格好良く見えているか、キレイに見えているか?

姿勢が悪くてスタイルも悪くて、みっともないのではないか?

運動不足で動きが悪く、あきれられているのではないか?

など、そういうことはどうでもよくなる。

とにかくやらなければ、やられる。自分がどう見えているか、どう思われているか、自分の格好を考えている場合じゃないのだ。これは私にとって、新たな発見だった。逆にいえば、ふだんどれだけ「どう思われているか」にとらわれているか、ということなのだ。

女ってきれいであること、おしとやかであること、みたいなのを常に要求されている。いつも周りの目を意識していなきゃいけない。私は生まれてからずっと女だったから、このことに気づかなかったけど、ジークンドーに行ったら気づいたわ。


13回の閲覧

最新記事

すべて表示

父と同居開始

「とうとう、父を呼び寄せて同居開始!」と晴れがましく報告するつもりだったが、現実はやはり厳しい。なんだか父の一挙手一投足が癇に障ってイライラが募るし、上の子からも「このままジージの認知症が改善しなければ施設に入れることも検討して!」とLINE が来るし。 なかなか物事はそう簡単にはいかない。今後もっとスムーズに同居が進むといいが…。

「コロナでよかった」「えっ!?」

「でもさー、コロナでよかったよ」と言ったら、子どもに「ええっ!?」と仰天された。私が言い足りなかったのだが、「アメリカが破産した影響がコロナ程度で済んでよかった」という意味だった。 今年2月16日にアメリカは2500兆円だったか、人類史状最高の借金を抱えて倒産した。かなり前から「もう持たない」「危ない、危ない」と言われていた砂上の楼閣だったが、とうとう本当に倒産してしまった。 巨体アメリカが倒れて

© 2016 石川レジティメシー研究所