• Ishikawa-legi

インテリ層の困窮化


55歳のうつ病の患者さんが、とうとう仕事がなくなり、ローンが払えず、家を手放すことになりました。大学も出て、会社勤めをして、途中から塾の講師など仕事を転々とし、結婚したけど一子をもうけて3年で離婚し、年老いた母親と二人暮らしをしていました。

とても温厚で、知的で、穏やかで、ハンサムで、趣味はクラシック・ギターだそうです。期限までに家を明け渡さなきゃいけないのに、まったく荷作りもしておらずそのままで、次に住むところも決まっていません。期限まであと5日になって、茫然とトイレに何時間も座り込んでいるところを発見され、うちの病院に救急搬送されてきました。お母さんはボケておろおろになっています。

「どうして人生、こんなことになってしまったか!」彼は嘆きました。

「あなたが悪いのでないからね。」と私は言いました。

あいつらが悪いのです。あいつらのせいです。日本人は人がいいから、すっかりだまされて、奪い取られてしまいました。

もうひとり、55歳の設計士も派遣(!)で仕事をしていましたが、仕事がなくなり、「あと3日しか金がもたない、一玉10円のうどんがあるでしょ、あれを食べるかな。うふふ。」とかすれ声で、風呂にも入らず汚いなりで髪もボサボサでよろめきながら、外来に来ました。

彼も相当なイケメンで、背も高く、インテリで、ブルガリア人の女性と結婚して二子をもうけましたが、浮気をされて日本に一人で帰ってきて何年も経つそうです。ブルガリアにいる子どもとはLINEをしているそうで、以前見せてもらったことがあります。

先々月は10万円、先月は5万円仕送りをしたそうですが、今月はお金がなくて全然送れなかったそうです。この状況でなぜ送るのか聞くと、「僕の子どもだからね。」とかすれ声で答えました。

設計士という立派な職につきながら食いっぱぐれるという、恐ろしい事態に今、日本はなっています。単に悲しいとか、怒りとかを通り越して、憤怒!絶対に許せません!


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