• Ishikawa-legi

結婚60年


病棟で86歳の男性が闘病の末、亡くなりました。堂々たる体格の男前の人でした。少し前から調子が悪く、データも悪く、「ヤバイ!」と思った私は家族に電話して総合病院への転院をすすめました。でも家族は「もう年だし、転院しなくていいです。」と断ってきました。

案の定、彼の容態はどんどん悪化し、危篤状態となりました。「今晩がヤマです」と自宅に電話すると、彼の結婚60年になる妻が孫とひ孫を連れて面会にきました。妻は髪も黒々としておしゃれではつらつとして見え、自分の夫に笑顔でお別れを言うと去って行きました。

その晩、妻は臨終の場には来ませんでした。代わりに娘夫婦が立ち会いました。

彼は60年一生懸命働いて家族を養っただろうに、ひ孫までできて一族の長だったろうのに、妻は臨終に立ち会わない・・・。夫婦ってそんなものなのでしょうか・・・。

でも私は知っています。彼が元気な頃、病棟スタッフが冗談めかして「若いとき、浮気したでしょう!」と詰めよると、彼は「うん」と答えていました。入院前からすごく乱暴で粗暴で暴力的だったため、どこにも引き取り手がなく、うちに来た人でした。

「かなりやりたい放題してきた人かもしれないな」という気はしていました。妻も何度も泣かされてきたのかもしれません。”家父長”というものがなくなって久しいですが、彼もあまり好き放題しなければ、りっぱな家父長として一家の見守る中で最期を見送ってもらえたかもしれない、と思います。あと、女が立てなければ、男は家父長になれないんだな、とも思いました。


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