- Ishikawa-legi
人格主義的生命倫理

『「人」の始まりをめぐる心理の考察」(秋葉悦子 毎日新聞社)を読みました。
著者は富山大学の教授で、美人で聡明で、バチカンの考え方を日本でも取り入れるべきと主張しています。
バチカンは「人は受精した瞬間に人となり、尊厳と人格が生じ、人権が認められるのだから、堕胎手術は殺人で、受精卵を使った実験は犯罪だ」と発表しています。
著者は、受精卵についても愛を向けるべきで、個人主義的見地に立って自分(や周りの人間)の利益の追求のために受精卵を犠牲にしてはいけない、というようなことを言っています。
どうせバチカンはクローン技術を一般人に広めたくないから、受精卵を使ってはいけない、受精卵には人権がある、などと屁理屈こねてるだけなのに。
著者の言う「人格主義」とは他者への愛のことだと思うのですが、これについては全面的に賛成です。でもバチカンのどこを探しても愛などないのに、バチカンが人格主義的生命倫理を主張しているとするならば、やがて整合性が取れなくなるだろうことは目に見えているので、どうやってオチをつけるのだろうか、と老婆心ながら心配してしまいます。