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「子孫繁栄」


なぜ女は、「子を産むマシーン」とか「子孫繁栄」とか言われると、カチンとくるのでしょう?

50代の姉妹が80代の認知症のお父さんの今後のことで相談に来ました。二人ともなかなかの美人ですが、独身で、一度も結婚歴がありません。

二人はお父さんを毛嫌いしていて、顔も見たくない、と言っています。お父さんはとても横柄で、くどくど説教ばかりして、意見を押し付けてきて、「お母さんを奴隷のように扱った」のだそうです。

お父さんの入院中にお母さんは癌で亡くなったのですが、もう半年以上たつのに、まだそのことはお父さんには知らせていないそうです。もちろん、お葬式にも呼ばなかったそうです。

お父さんのほうは、「一所懸命働いて200坪の家を建てた。なんの不自由もさせなかった。それなのになぜ?」と途方に暮れています。

長女さんのほうに、なぜ結婚しなかったのか、不躾ですがたずねてみました。長女さんはこう答えていました。

「お父さんは、私が小さいころから『跡取り娘、跡取り娘』と吹き込んだ。大きくなって“婿取りの見合い”をたくさんさせられた。『子孫繁栄』とか言われて。」

「でも、どの人も『合わないな~』と思ってことわっているうちに、30過ぎてしまった。」

次女さんのほうも、「父のような前例を見ていると、結婚する気になれなかった。」と言っていました。

「父のような」というのはおそらく、家の中で絶対権力をふるう暴君のような男という意味で、男というものが父のように暴君であるならば、結婚生活は母のように奴隷状態になるであろうから、自分はいやだと思ったのでしょう。

この姉妹はふたりで、フェミニズムの旗手上野千鶴子さんの講演会を聞きに行ったりしたこともあるそうです。

でもどうして私も含めて女性

は、「子孫繁栄」とか、「子どもをたくさん産め」とか言われると、腹が立つのでしょう?

ひとつには、こう言われると人格否定されたような気になる、っていうのがあります。人として尊重してもらえてないような、認めてもらえてないような。私の今までの努力とは一切関係のない、子宮の機能だけが取り上げられて問題にされるような・・・。

なんか反射的にこのように思ってしまうのですが、待て、待て。これには絶対どこかにワナがあるはずです。だって、女が子を産まない方向に向いている話ですもん。おかしいですよ。

そもそも女しか子どもは産めないし。男に「子どもを産め」と言っても無理だし。それからいいお母さんにしかいい子は育てられないし。悪いお母さんはちゃんと子育てできないし。

子孫を繁栄せるためには、子どもがちゃんとしたりっぱな人間に育たないと繁栄しないし。子どもをりっぱな人間に育てるには、お母さんがりっぱな人間でないと無理だし。

やっぱりこのお父さんは娘がかわいいからこそ、「子孫繁栄」と言ったのだろうなー、と思います。誰もどうしようもない人間に向かって「孫を産んでくれ」とは言わないでしょう。娘の人格を踏まえて、そのやさしい人柄を前提にして、だからこそ「この子ならいい孫ができるな」と思ったのだと思います。

「子孫繁栄」は女性の人格否定ではなく、むしろ人格を誉め讃える言葉だったのかもしれませんが、知らないうちにフェミニズム運動によって変な方向へ捻じ曲げられてしまいました。

あちこち、そちこち、微に入り細に入りワナがしかけてあって、大変な世の中になりました。このお父さんの200坪の家は、誰も継ぐ人がなく途絶えてしまう運命なのです。


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