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空振り


あるお母さんに、「『お母さんも手助けしてあげたいと思ってるよ』と子どもに言ってあげて。」と言ったところ、そのお母さんは、「もう言ってる。」と言うのです。

念のため、「じゃあ、何て言ってるの?」と聞くと、

「『何か手助けしてほしいことある?』っていつもきいてます!」と、ちょっとムッとして答えました。

でも、『お母さんも手助けしてあげたいと思ってるよ』と、『何か手助けしてほしいことある?』はちょっと違います。英語で言えば”I am always thinking of you to help you"と、”Is there anything that I can do for you?" あたりになるでしょうか。英語で見ると明らかですが、二つの文は主語がちがうのです。

その子は明らかに愛情不足で、自分でも「からっぽだ」と言っているので、私はお母さんに、その子が大事だというお母さんの気持ちを伝えてほしい、とお願いしているのですが、うまく理解してもらえません。

「では、『あんたが好きやよ』と言ってあげて。」と言うと、「それは言えない。言うとその後でかえって反動がきて失敗してしまうのではないかと思ってしまうから。」と、よくわからないことをむにゃむにゃ言っています。

最初私は日本語の問題かと思いました。でもやりとりしていうちに、そうではなくて、現時点でお母さんが子どもを大事だと思っていないので、その言葉を発することを巧妙に避けているのだということに気づきました。おそらく長い間ひどい状態だったので、もう手に余ると思っているのでしょう。

でも体面上は、子どもを思う一所懸命なお母さんを演じなくてはならないのです。

どのお母さんと話しても思うことですが、あとから「ちゃんと愛情を与えて」と言っても、もう無理なのです。ずっとお母さんなりに愛情を注ぎ続けてきて、それで精一杯なのです。今さら「全部、的外れのカラ振りでした。ちゃんと子どもに入るように注いでください。」と言ってもダメなのです。

最初にきちんと、「その愛情の注ぎ方はダメだ。こうやるんだ。」とお母さんに教えなくてはいけないのだけれど。

たぶんまた、フェミニズムや変てこイデオロギーや“風潮”のせいで、捻じ曲がったやり方にすっかり染まってしまっていて、もうどうにもならなくなってしまっているのでしょう。子どもが本当にかわいそうです。なんとかならないでしょうか。


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