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縁起が悪い


昔は嫁に行かなかった娘は、「縁起が悪い」といわれて実家の墓には入れてもらえませんでした。娘というものは、嫁に行って婚家を繁栄させるという使命を帯びており、それを果たせなかった場合、家制度にとってはそれはまさに「縁起が悪い」のです。

もう亡くなってしまいましたが、80代のHさんはとっても活発な元気のいいおばあちゃまでした。地元のお屋敷のお嬢さんだったそうで、女学校を卒業後秘書をしたり都会に出て働いたりしてたくさんのお金を稼いだそうですが、生涯をずっと独身で過ごしました(話によると、さる有名院長の想われ人だったそうですが、詳細は不明です)。

そのHさんも60代の頃にやはり、「実家の墓には入れてやらん」と言われたそうで、怒り狂ったHさんは実家から籍を抜いてしまいました。

なぜHさんが怒り狂ったかというと、「自分はこんなに立派に働いたのに、人格を無視された」と思ったからだと思います。実家の価値観は「女は嫁に行って子どもを産んでなんぼ」なのに対して、Hさんは「女性でも社会進出して仕事をするのがよい」という価値観だったのです。

そしてその後、Hさんは父親の2度目の奥さんの娘、つまり義妹を養子にし、その人に財産を残しました。

ところがHさんが亡くなると、実家の跡を継いだ長兄の娘が突然出てきて、「養子縁組は不当である。」「遺産をよこせ」と、Hさんの養子(義妹)を訴えたのです。

養子さんによると、女手一つで稼いだ金だしそんな大した額ではなく、ちょっとした土地が一筆あるだけだそうですが、その本家の娘は裁判を起こしてでも、なんとしてでもそれが欲しいのだそうです。

まったく今日日はせちがらいというか、なんというか。「墓に入れてやらん」と言ったのだから、そこは本家としては矜持を正し”武士は食わねど高楊枝”の精神でふんばるべきではなかったかと思うのですが・・・。

誇りもかなぐり捨てて金にむらがる、こんなみっともない日本に誰がした?ご先祖様が草葉の陰で泣いていますよ。


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