• Ishikawa-legi

「アインシュタインはすごい!」


コンビニで買ってきた「図解:相対性理論・量子論」という本をパラパラとめくりながら、夫が言った。

「アインシュタインはすごい!」

「へー、どこがすごいの?」私は聞いた。

「こんなにたくさんのノーベル賞受賞者を従えて、一番前に座っている!」


まったく!

夫が、ここまで惑わされやすいとはあきれる。その人物のすごさを、一緒に写っている人物&座っている位置で測るなんて、権威主義の最たるものではないか。

「じゃ、貧乏人30人の一番後ろにアインシュタインが写っていたら、すごくないの?」と聞いてみたら、夫は、

「すごくない。」と答えた。なんじゃ、そりゃ。

大体この写真は、20世紀の核開発と世界支配の陰謀を一般人の目からごまかすためのイルミナティの策略写真にすぎない。ノーベル賞だってインチキの賜物で、アインシュタインは目くらましの道化役だ。

ここまで日本が荒廃させられ地獄の底に投げ入れられ苦しんでいるのに、それを微塵も感じとらない夫の鈍感さと能天気さに、ひどくイラつきをおぼえた。

しかしふと気づいたのだが、夫は一応、職場で集合写真を撮るときにいつでもこのアインシュタインの位置に座っている人物、そういう立場にある人間だったのだ。つまり夫は、単に既得権益を手放したくないだけだったのだ。

一方、私は写真を撮るときはいつでも後ろの列の端っこに追いやられる。でも、いつもこういう立場にいたからこそ、じっと見てきてわかったこと(中央に座っている人物の権威のはかなさなど)がたくさんあると今では思っている。

20〜21世紀、ここまで嘘と欺瞞を塗り重ねてきたので、もはや崩壊寸前だ。この写真はいろんな意味で象徴的だと思う。


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