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「大事なことをしなかったと気がついた」


その母は70歳になるその日まで、家族のことは全部やっていた。食事の準備も後片付けも洗濯も掃除も、役所の手続きも入院手続きも、何もかもやっていた。やるのが当たり前と思ってシャカリキにがんばっていた。

ふと気づいたら、息子は何もできない人になっていた。家で食べて寝るだけ。ストレス溜まって時々暴れる。「自分が死んだら、この子はどうなるのだろう?」と母は不安で仕方ない。

この母は、近所の家庭を色々見ていて気づいたそうだ。

「他の家では男の人もみんな家のことやる。布団なんかきちーんとたたんで。ずっと小さい頃から少しずつやらせている。自分でできるようにやらせている。」

「私は大事なことをしてこなかったと気づいた。もう手遅れだ。」

「そんなことない。気づいたなら、今からでも間に合いますよ。」と私は言った。私が知りたかったのは、何が普通の親を”過保護な親”に変身させたかだ。時代か?風潮か?日本人の体質か?

ある親は言っていた。「おかしいのはわかっているが、周りが全員そうしている。自分もそうしないと、いじめに遭う」と。

だが、いじめに遭おうが何しようが、信念を貫いて、我が子を立派に一人前に育て上げることのほうが優先されるべきではないか、とそれを聞いて思った。


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