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帰宅願望


老人病棟のみなさんが口々に、「家に帰りたい」「今すぐに息子に迎えに来てもらう」と訴えている様子は、まるで保育園の園児が「おかあさーん!帰るー!」と泣きわめいているのにそっくりだ。

子どもの頃は親を求め、年が行くと子どもを求める。どっちも家族を求めているのは変わりないが、それぞれ上の世代と下の世代を求めているというのが、うーん、なんともいえず「そうなんだね、代々送っていくんだね」という気持ちになる。

でも世相を反映しているというか、息子に嫁がいない、娘に婿がいない、だから家に帰っても昼間は一人ぼっちで、全部自分でしなくちゃいけない、という状況の人が多い。だから帰れない。帰るところがない。

「みなさん、何のために今まで一生懸命働いてきたの?帰る家すらないのよ?なんでこんなことになっちゃったの?哀しいね!」と時々、病棟で叫びたい衝動にかられる。


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