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ひとだま


「山怪(参)ー仙人が語る不思議な話」(田中康弘著)を読んだ。この本によると、ひとだまはやはり人の霊魂に関係ある現象で、人が亡くなる前後に現れるらしい。そして亡くなるとすぐ現れなくなるらしい。

これに対し、亡くなった人の霊はしばらくの間、親しい人の間に出没して音を立てたり、姿を見せたりする。”しばらく”とはどれぐらいか?

この本の話を総合すると、最長で死後1〜2年らしい。これぐらい経つと生前の未練も薄れるらしく、霊の上にも等しく時は流れるというところが面白いと思った。

それから最後のほうの、50代半ばで死んだ女性のひとだまが漂う話も興味深かった。この女性は生前、家を訪ねてくる魚の行商の人と浮気していたそうで、死んでからひとだまとなって浮遊していたが、このひとだまは婚家の墓に入らず、実家の墓に入るのが目撃されたそうだ。恥じて婚家の墓には入れないのだ。

やっぱり、生きている間の行いが死後の霊の所作にも影響するのだ、と思ったらとても感慨深い。気をつけようっと。

私は小さいころ、能登の祖父母の家の近くで、時々ひとだまを見かけた。キャベツくらいの大きさで、白くて、電線の高さをふゆ〜、ふゆ〜と気ままに浮遊していた。見てても全然怖くなかった。「あ、またいた」としか思わなかった。

祖父が死んだ時、私は夜遅く能登の家に駆けつけ、祖父のお棺と対面した。その時不思議な体験をした。体全体が大きな釣鐘の中に入れられ外から棒で叩かれたような、「ぐわ〜〜〜ん!」という得もいわれぬ感覚を味わったのだ。

私はその時はすごく怖くなって、お棺を開けて死んだ祖父の顔を見ることができなかった。「おじいちゃん、怒ってるのかな?」と思った。

翌朝、お棺の前に座ると、また「ぐわ〜〜〜ん!」という感覚が私を襲ったが、今度はもっと小さかった。「あ、おじいちゃん、遠くへ行ったな」とその時思った。

不思議な現象は絶対ある。現代科学はそれを迷信だと切って捨てたが、なんのことはない、我々がそれを利用しては困るから彼らは隠匿しただけで、よくよく見るとちゃんと計算できる科学現象だ。

不思議な現象は必ず意味を持つので、いつも謙虚な気持ちで対応し、決して無視したり、無碍にしたりしてはいけないと思う。


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